脂質異常症
脂質異常症とは?その原因と症状
「健康診断でコレステロールや中性脂肪が高いと言われたけれど、どうすればいいの?」
そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。脂質異常症は、自覚症状がほとんどないまま動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞など重大な病気のリスクを高める怖い状態です。この記事では、脂質異常症の原因・症状・治療法や予防のポイントについて、わかりやすく解説します。
脂質とは?
脂質は、炭水化物・たんぱく質と並ぶ「三大栄養素」の一つです。細胞膜の構成成分として重要なほか、ホルモンの材料やエネルギー源としても働きます。
中でも代表的な脂質には以下のようなものがあります:
- コレステロール:細胞膜の材料やホルモン・胆汁酸の材料になります。体内の多くは肝臓で作られますが、食事からも摂取されます。
・LDLコレステロール(悪玉):過剰になると血管にたまりやすく、動脈硬化の原因に。
・HDLコレステロール(善玉):余分なコレステロールを肝臓に戻す働きをします。
- 中性脂肪(トリグリセリド):エネルギー源として使われ、余分な分は脂肪として体に蓄えられます。
脂質異常症とは?
血液中のコレステロールや中性脂肪の値が基準から外れている状態を「脂質異常症」といいます。特に高値のまま放置されると、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気につながるおそれがあります。
原因と危険因子
遺伝的要因(原発性)
家族性高コレステロール血症:LDLコレステロールを処理する遺伝子に異常があり、血中に大量のLDLが残ります。若くして動脈硬化や心臓の病気を起こしやすく、家族内での発症が見られます。皮膚にできる黄色腫やアキレス腱の肥厚が特徴です。
生活習慣の影響(続発性)
脂質異常症の約80%は生活習慣が原因です。
- 食生活の乱れ:肉類や乳製品などの動物性脂肪の摂りすぎ、野菜や食物繊維の不足、高カロリーな食事
- 運動不足:HDLコレステロールが減り、LDLが増えやすくなります。
- 飲酒:特に糖質を含んだお酒は中性脂肪を急増させます。
脂質異常症の診断方法
健康診断での血液検査
次の数値で脂質異常症が疑われます:
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項目 |
基準値 |
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LDLコレステロール |
140 mg/dL以上 |
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HDLコレステロール |
40 mg/dL未満 |
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中性脂肪(空腹時) |
150 mg/dL以上 |
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中性脂肪(随時) |
75 mg/dL以上 |
動脈硬化との関係
脂質異常症は動脈硬化を進行させる大きな要因です。
coronary arteries with accumulated fat in the body
- LDLコレステロールが血管の内側にたまり、プラークを作ります。
- HDLコレステロールが少ないと、コレステロールが血管に溜まりやすくなります。
- 中性脂肪が多いと、LDLが小型化し、より血管の奥深くに入り込みやすくなります。
動脈硬化が進むと、心筋梗塞、脳梗塞、狭心症のリスクが高まります。
脂質異常症の予防と治療
非薬物療法(生活習慣の見直し)
・食事改善
- 動物性脂肪を控える:脂身や皮、バター、チーズなど
- 青魚を積極的に摂る:サバ、イワシ、サンマなどに含まれるEPA・DHAが有効
- 植物性タンパク質を取り入れる:豆腐、納豆、枝豆など
- 食物繊維を多く摂る:野菜、きのこ、海藻など
・運動習慣
- 有酸素運動(週3回以上、1回30分程度):ウォーキング、ジョギング、水泳など
- 筋力トレーニング(週2〜3回):自重スクワット、軽いダンベル運動など
- 日常の活動を増やす:階段を使う、一駅歩くなど
薬物療法
生活習慣の見直しだけでは改善が難しい場合や、リスクが高い方には薬物療法が必要です。
コレステロールを下げる薬:
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薬の種類 |
特徴 |
副作用 |
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スタチン系 |
LDL低下効果が強く、第一選択薬。 心血管イベント予防効果あり。 |
肝機能障害、筋肉痛 (まれに横紋筋融解症) |
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小腸コレステロールトランスポーター阻害薬 |
食事からの吸収を防ぐ スタチンとの併用で相乗効果。 |
下痢、腹痛 |
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陰イオン交換樹脂 |
胆汁酸を排出して間接的に低下 |
便秘、腹部膨満感 |
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PCSK9阻害薬 |
LDLの取り込みを促進 皮下注射薬 |
注射部位の痛み アレルギー反応 |
中性脂肪を下げる薬:
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薬の種類 |
特徴 |
副作用 |
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フィブラート系 |
中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを増やす。 動脈硬化予防にも寄与。 |
胃腸障害 肝機能障害 |
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EPA製剤 |
抗炎症作用もあり心臓病予防に有効 |
胃の不快感 出血傾向(まれ) |
最後に
脂質異常症は、ほとんど自覚症状がなく進行します。定期的な健康診断と生活習慣の見直しが大切です。気になる方は、お早めにご相談ください。
